2008/06/10

Figuration Narrative Paris 1960-72 @グラン・パレ




ドゴール将軍の彫刻とグランパレ

 グラン・パレで開催中のFiguration Narrative Paris 1960-72 展を見に行く。ナラティブとは物語的とでも訳すならば、この展覧会は絵画造形のなかに、ある種の語りや物語が存在する作品の展覧会ということになる。しかし、もともと西洋絵画の伝統は、キリスト教絵画が主流であることを考えれば、それらは全てナラティブに他ならず。この時期の物語に注目するのは、その物語がなくなってしまい、それが復活することを意味するのであろう。


 それは、モダニズムつまりはアヴァンギャルドが絵画の純粋性を志向していたことの反動かもしれないが、もっと単純に抽象絵画から物語絵画への変容とみるほうが正しいだろう。あるいは、アメリカにおける抽象表現主義からポップアートへの移行の影響史としてみることができるだろう。だから、時代的には1960年から72年に区切っているのであるが、「影響」と先に書いたように、この時期すでに現代美術の中心はパリからニューヨークに移っていることを意味するのだろう。だから、この展覧会はある意味で負け組のフランス絵画史とでもいうものであり、展示されている作家は、国際的に知られている人は少ない。


 まあ日本でも同じようなことがあって、日本人画家として高値で取引されていても、国際的にはまったく知られていない作家は多数いることと、大差ないように思った。とはいえ、日本のように隔離されているわけでなく、ヨーロッパの国々を横断的に活動しているだろうから、この展覧会に登場する作家はフランス人に限定されていない。


 展覧会の企画者は、この物語性のなかに、BD(フランスの漫画)や、ロマンノワール(暗黒小説、あるいはハードボイルド)、政治的形象といったトピックをたてるのだが、この中で日本と決定的に違うのは、インドシナやヴェトナムの戦争へのダイレクトな反映かもしれない。


 グランパレは二つの会場をもっており、一つの展覧会の入場料は10ユーロと安くない。もう一つの展覧会マリー・アントワネット展は行かないことを決めているが、それと二つを一日でまわると17ユーロとなる。アントワネットの方は入場するのに列が出来ていたが、こちらはガラガラでした。

0 件のコメント: