2008/06/08

ヨーロッパ写真美術館のルース&ベラン展






 パリ市立ヨーロッパ写真美術館で開催中のジョルジュ・ルースとヴァレリー・ベランの展覧会を見に行きました。少し油断していたら、明日が最終日ということで少しあせりましたが。さて、ジョルジュ・ルースは、廃屋等にだまし絵風の絵を描き、それを写真に撮影するという手法で知られている作家です。日本との関わりもあり、阪神淡路大震災のあとの神戸や伊丹で作品を制作したり、去年のゼミ旅行で訪れた軽井沢のメルシャン美術館でも展覧会が開かれています。一方、ヴァレリー・ベランはルースより一世代後の作家で、マネキンを人間らしく化粧させて撮影したポートレートのシリーズなどが知られています。ベルリンで、いやと言うほどベッヒャー派の作家達の作品をみてきて、写真に食傷気味だったのですが、久しぶりに面白くみることができました。

 オーディトリウムでルースの80年代からの作品変遷を示すビデオを見ていると、ルースの本道は画家であることが良くわかります。写真家は光を捕らえることに苦心するのが常ですが、ルースの作品においては光がじゃまな時もあります。光で満ちた空間に、だまし絵風に挿入された色彩は、赤なら赤という固有の色そのものであり、何ものでもないと感じました。

 この美術館の入り口の前には、シャンパンで有名なドンペリのメセナによる石の庭があります。作者はなんと日本人の作家田原桂一さんです。田原さんの展覧会は、数年前に東京都庭園美術館で開催されましたが、パリでの人気がしのばれるような気がしました。

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