2008/07/08

ツァイーデ2



ピーター・セラーズが演出したツァイーデ、演出家はこの問題を現代にパラフレーズして考え、それを様々なNPOやアーティストと連携しながら、問題提起している。あのエクスの美しい並木道クール・ミラボーには、その場所に似つかわしくない郊外の写真が展示され、その横には悲惨なテキストが並べられるという次第。しかし、この展示に関しては、エクスの市民はもちろん、多くの観光客の興味は低いようだ。私が写真を撮っているときでも、このパネルを読むのは、それに近い境遇にあったであろう、白人以外の人が多く、この企画の意味そのものを考えさえられることになる。誰のためのオペラなのか?誰のための展示なのか?・・・と更にいうなら、そこで展示されている写真の殆どが、モダニズムの建築であることも考えたい。所謂フランスにおけるシテ、郊外の問題に象徴されるようなものかもしれないが、あまりにもステレオタイプ化されているような気もする。空虚なモダンな高層住宅と、現代の奴隷、また写真はドイツのベッヒャースクール風で、現代アート的なプレゼンも鼻につく。アートが奴隷を消費しているようでもあり、私はそれに賛同できなかった。そもそも、エクスにわざわざオペラを見に来る、オペラファンにそんな問題を提示したところで、何になるのだろうか?観客は富裕層であり、己の恥を知れと言うことなのだろうか?志は高いかもしれないが、どうしてエクスで?という思いはどうしても残ってしまう。

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