2008/07/08

ツァイーデ@エクス音楽祭



どうにかこうにか エクスに到着した。着くと30度以上の暑さ、チューリヒも暑かったが、暑さの質が違う。スイスは、太陽が直接肌に熱を刺している感じだったが、こちらはもわっと身体全体を蒸している感じホテルにも簡単にたどり着き、荷物をチェックすると、スケッチブックがないことに気づく チューリヒのクンストハウスでジャコメッティの詳細なメモや、彩色したシャガールのステンドグラスの絵などが、なくなった。おそらく、ヴィラ・トゥルクに忘れたのであろうから、連絡するつもりだが、落胆モードだ。
ホテルでシャワーを浴びて、一度町にでた。チケットオフィスみたいなものは、閉まっていて、各演目毎にインターネット予約したチケットを受け取るようだ。今日のモーツァルトのジングシュピール「ツァイーデ」は、なんと22時開演なので、中華のテイクアウトを購入しホテルに戻った。
ホテルは会場から5分ぐらいのところで、安ホテルであるが、快適だ。ただ、ワイヤレスのインターネット接続の番号をもらっても、接続できる数が限られているのか、全くつながらない。仕方なくモデムでつないでいる。あのぴーーーーって音が懐かしい。
エクサンプロバンスお音楽祭は、今年で60周年を迎えたという。私は、バイロイトは別格として、夏の音楽祭の中では一番来たかった音楽祭だ。今回の遠征では、このツァイーデとコシ・ファン・トゥッテ、そしてジークフリードを見ることになっている。初めてなので、様子を見るかんじで、半袖のシャツに一応ネクタイをしていったが、チューリヒのオペラフェスと違って、半分屋外であることもあってか、ラフな服装の人が多かった。今回のツァイーデは、若きモーツァルトの作品で、なかなか上演される機械が少ない。というか、未完でもあり、最後も曖昧だ。今回の演出は、ピーター・セラーズ、ニューヨークのリンカーンセンター、ロンドンのバービカンとの共同制作とのこと。指揮は、ルイ・ラングレでオケはカメラータ・ザルツブルグ 配役は以下の通り皇帝の侍女ツァイーデ Zaide (S) Ekaterina Lekhina捕虜ゴーマッツ Gomatz (T) Sean Panikkar皇帝の部下アラチム Allazim (B) Alfred Walker皇帝ソリマン Soliman (T) Russell Thomasオスミン Osmin (B) Morris Robinson演出は所謂読み替えで、ソリマンは縫製工場の悪徳社長で、不法滞在者などを監禁して働かさせている感じで、現代の奴隷制度という意味合いをもたせているようだ。というのも、こういった問題は、性奴隷のようなより悪質な問題も含みつつ、現代的問題でもあり、それを解放するNPOなどと連携も示唆にいれて、このオペラを制作したようだ。そのため、歌手もロシア人のツァイーデ以外は、ゴーマッツはスリランカ系、あとは黒人歌手となっていた。ソリマンも白人だとよりわかりやすいような気もするが、オリジナルがトルコvs西欧という構図なので、トルコの役を白人にするのは、違和感があったのかもしれないまた、今回は未完の作品を補うため「エジプトの王、タモス」の音楽を足しながらの上演となった。とはいえ、全体として、モーツァルトの音楽を聴いている気分には全くなれなかった。演出家の意図なのであろう、多くのアリアは、ぶつぶつに切断されているような「間」が存在し、アリアとアリアの間も、収監されている工場の鉄製のドアをたたく、金属音が響くが、各人物はパントマイム的演技に終始し、しかも、それが反復されるので、見ていて辛かった。その反復に意味を持たせているのかもしれないが、あまりにも音楽的でない動きに辟易した。歌手は、ゴーマッツとソリマンは良かったと思うが、ツァイーデは線が細かった。ここで、デセイのような歌唱は場違いなのだろう。そう考えると、それも演出の問題だったのではと勘ぐってしまう。

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