2008/05/30

チョン・ミョン・フン指揮ドレスデン・シュターツ・カペレ管@シャンゼリゼ劇場




ブールデルの彫刻

モーリス・ドニの天井画

ここは、バレエリュス(ロシアバレエ)が多く上演された場所です。ストラヴィンスキーの春の祭典はここで初演されました。

韓国の指揮者チョン・ミョン・フン指揮による、ドレスデン・シュターツ・カペレ管弦楽団のコンサートがあり、久しぶりにシャンゼリゼ劇場に行きました。シャンゼリゼ劇場は、1913年に完成した近代建築史には必ず出てくるといってよいもので、鉄筋コンクリート建築の父オーギュスト・ペレの設計によるものです。装飾はアール・ヌーヴォー様式、天井画をモーリス・ドニ、ファサードにあるレリーフをアントワーヌ・ブールデルが手がけていることでも知られています。オルセー美術館には、ドニの天井画の模型や下書きが展示されています。
さて、昨夜のイタリア音楽made in Franceに続き、韓国人指揮者の棒によるとはいえ、バリバリのドイツ音楽を聴くことになりました。プログラムは、以下の通りです。
Messiaen : Les Offrandes oubliées
Mozart : Concerto pour piano et orchestre n° 20 en ré mineur K. 466
休憩
Beethoven : Symphonie n° 5 en ut mineur
Myung-Whun Chung, direction
Lars Vogt, piano
 バリバリのドイツ音楽と書きましたが、コンサートの前半部は、メモリアルイヤーのメシアン作曲「忘れられた捧げもの」で、チョン・ミョン・フン得意の曲から始まりました。最初からオケがうまいです。とはいえ、このオケで、この曲を聴くことの違和感を少し感じました。次の、モーツァルトのピアノ協奏曲20番、ピアノはラルス・フォークト、チョン・ミョン・フンあるいはサイモン・ラトルもお気に入りのピアニストです。とても綺麗な音で感心しました。
 しかし、なんといってもすごかったのはベートーヴェンの「運命」そして、アンコールで演奏されたウェー バー「魔弾の射手」序曲 といった超超メジャーな曲でした。そういえば、生のオーケストラで運命を聞くのはどのくらいぶりかしら?オペラ中心の鑑賞生活故、コンサートにはこれぞという曲に行くのですが、ついつい有名曲を意図的にパスしがちで、運命を聞くのは本当に久しぶりだったこともあり、あらためてこの曲のすごさを感じました。
 チョン・ミョン・フンはオケを、思いっきり鳴らすのですが、かといって感情に溺れるわけでもなく、きわめて理知的に、しかも熱血に音楽を作っていきます。しかも、ドレスデンのオケはチョンの意図を正確に表現すると共に、ドイツの伝統的ないぶし銀のような音を鳴らすので、脱帽しました。本当にすばらしかった。しかも、たった12ユーロ(もっと安い席は5ユーロから)で、このような音楽に触れることの出来るパリ市民は幸せだなとも思った次第です。

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