2008/05/22

日本の建築1996ー2006 パラレルニッポン@パリ日本文化会館

パリ日本文化会館で開催中の日本の建築1996ー2006展を見ました。予想が出来る展示なので、わざわざ500円(3ユーロ)も支払ってみようとは思っていなかったのですが、建築と文化財都市の会員は無料と言うことなので、見てみました。はっきり言って、お金支払う価値のない展示です。パリ市の都市計画美術館が無料公開なんだから、ただのパネル展示だけなのに、お金を取ってはいけません。    それはさておき、なにがだめかというと、日本のこの10年の建築、建築家の停滞感にいらだちを感じるからなのかもしれません。時代は、バブルの後遺症、サリン事件等のあとの90年代、現代美術の村上隆のような香具師もいません。清潔で衛生的なモダニズムに遁世して、何も新しいものを作らなかった時代。まだ、フランスの建築家たちが、中国や中東で阿漕な商売をしている方がましではないか?そんな気持ちになりました。
実は、この展示の中心となりつつあるのは、私と同世代の建築家たちだったりします。大学時代の友人の作品も展示されていましたが、確実に言えるのは建築のリアリティの欠如です。ブルータスカーサなどで賞賛されるような、美しい商品として消費されるだけで、人間の生活感のない、去勢された白い空間の連続なのです。見ていて気持ち悪いのです。そこにはユートピアもなく、まだ嘘くさいユートピアでも、それを信じていたオリンピアードの矛盾、さらにはそのオリジンであるル・コルビュジエの盲信の方が、まともだと思ったのでした。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ぜひ聞いてみたいのですが・・・ここ最近で、先生の考えるいい建築家はどなたですか?具体的な作品を見て私も考えてみたいです。