2008/12/10

身体の形象展@ボザール




師走になり、今年の展覧会のベスト5といった記事が新聞に載りそうな時期になりました。この時期になって、私にとって間違いなくベスト5に入る展覧会をエコール・デ・ボザールの展示会場で見ました。それは、身体の形象展、ボザールにおける解剖学講義« Figures du corps - une leçon d’anatomie aux Beaux-arts »という展覧会で、イタリアルネサンスの伝統を引き継いだ、アカデミーが絵画制作の実践において、どのように解剖学を受容していったかを探るものです。ボザールでは、礼拝堂で開かれた「アカデミア」という展覧会も意欲的でしたが、この展覧会はボザールの伝統を利用して、普段見ることの出来ない資料をこれでもかといったぐらいに展示されていて、圧倒的でした。無論、それらは今まで美術史のメインストリームからははずれていたものであり、それらを現代的な視点から再考をこころみているのです。私が特に興味を持ったのは、ボザールの解剖学教授となったポール・リッシェPaul Richerの仕事です。彼は、シャルコーによるサルペトリエール病院におけるヒステリーの臨床に立ち会い、助手としてその写真を撮影していて、それらは美術史家ディディ・ユベルマンの「ヒステリーの発見」の源泉ともなるのです。また、彼はデカルトの頭蓋骨の正当性を、フランス・ハルスのデカルト図などから検証したのでした。


展覧会を見終わって、美術解剖学は骨と肉の二元論

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