2008/12/12

BNで日本の浮世絵展を見ました。


日仏交流150周年事業の一環なのであろう、国立図書館で浮世絵展が開催されており、それを見ました。浮世絵をじっくり見る機会は、いくらでもあるのに、しばらく見ていませんでしたので、やけに新鮮に見えてきます。また、これらの作品がどのようにフランスにもたらされたのかは興味深いです。みると、林忠正やサムエル・ビングから購入したものが多かったのですが、そのうちアレクシス・ルアールのコレクションが気になります。ルアールのコレクションといえば、2004年に東京都美術館で「パリ・マルモッタン美術館展モネとモリゾ日本初公開ルアールコレクション」という展覧会が開かれています。この時の展覧会のコレクションは、ベルト・モリゾの孫であるドニ・ルアールとアニー・ルアール夫妻のコレクションということになるようですが、モリゾとマネの弟ウジェーヌと間に生まれた娘ジュリーがアンリ・ルアールの息子エルネストと結婚して、ドニ・ルアールを授かるのです。
アンリ・ルアールは画家である一方で、印象派の画家たちを支援したことで知られています。彼は、リュシー、アレクシス、ウジェーヌ、ルイの5人の子供を授かり、今回の浮世絵展では、そのアレクシスから寄贈された作品が展示されていました。2004年には、パリ市が運営するロマン主義美術館で、ルアール一家の展覧会が開かれています。 展覧会の概要をみていると、ルアール一家のまわりに、画家だけでなく、ヴァレリーやジッド、マラルメといった文学者、さらにはドビュッシーやショーソンといった音楽家たちも集っています。
さて、ルアールへの興味は尽きないのですが、浮世絵自体の話に戻ると、私の一番の再発見は、広重の東海道五十三次の「蒲原」のすばらしさです。ルアールのコレクションの状態が良いのかどうかはわかりませんが、版木の鑿跡を微かに感じるとともに、雪の表現や、黒と白の色彩感覚等、本当に素晴らしいと思いました。
ところで、この絵は、昭和30年代に生まれた世代=つまりは子供時代に切手を収集していた世代には、なおさら思い入れが深いものかもしれません。今では切手ブームって何?と感じるかもしれませんが、私が少年のころには、クラスの大多数が切手を集め、自慢し合ったり、交換などもしました。そのなかで、高価だったのが「月に雁」「見返り美人」でしたが、これらは「切手趣味週間」のシリーズの切手でした。当然、それらを買うことなど出来なくて、切手ショップでただ眺めているだけでした。その次に、高価で取引されていたシリーズに「国際文通週間」があり、その1960年(つまりは私の生まれた年)の切手が「蒲原」だったのです。蒲原は高値で取引されいて、その切手を取得したときは本当にうれしかったことが思い出されます。東海道五十三次の浮世絵は、浮世絵そのものをみるよりも、国際文通週間の切手や、永谷園のお茶漬けの付録などの方が身近だったのでした。

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