2008/04/24

人工地盤(DALLE)の現在



奥の赤茶の建物は旧ホテル・ニッコー
 ビル・アーケムにある日本文化会館で調べものをしたあと、近くのフロン・ド・セーヌ地区へ向かった。というのも、日曜日に行った都市計画博物館で、この地区の最新の計画が紹介されており、現状を見に行きたくなったからだ。実は、東大の西村清和教授を代表研究者とする「ビオトープの美学」という科研費の研究グループに参加しており、そこでは人工地盤=Dalleに関する研究をしている。そのため、そのパリにおける代表的事例の現在を知りたかったのだ。(ちなみにDalleの一番の成功例は、デファンス地区であり、その規模の大きさは圧倒的である。)

 この地区は、パリのマンハッタンみたいなところで、16区の方からみると、それぞれのビルの高さが100mに設定され、スカイラインが統一され、美的な景観を形成していることに気づく。高層ビルの多くはアパルトマンなのだが、出来たばかりの頃は、裕福なオイルマネーの享受者たちの投機対象だったという話もある。それから約30年たち、町は荒廃し、リノベーションが必要になった。

 ここは、デファンスのようにパブリックアートがあるわけでもなく、Dalleに緑地を増やす計画となっているようである。もともと、この人工地盤の考え方の源泉は、ル・コルビュジエの都市計画までさかのぼることが出来るので、近代建築の五原則の屋上庭園の拡充という意味にも通じるのだろう。とはいえ、夕方の訪問であったが、あまりにも人がいないこの状況は、近代都市の理想の崩壊ともとらえられそうでもあった。

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