2008/04/30

ヴラマンク展@リュクサンブール美術館とドラクロワ@サン・シュルピス教会


リュクサンブール美術館

「ヤコブと天使の闘い」

「神殿を追われるヘリオドロス」

「悪魔を倒す天使長聖ミカエル」

周歩廊にあるチャペルでは、ビデオアートで「主の公現=エピファニー」が表現されていた。
左から星、イエス、東方三博士

 リュクサンブール美術館で開催中のフォービズムの画家ヴラマンクの展覧会を見ました。今年は、没後50周年を記念する展覧会のようでした。会場は、グランパレなどの大きな会場よりも小さめ、東京の文化村ぐらい広さで、油絵60点ほどと、陶芸作品、それと画家本人がコレクションしていたアフリカの彫刻で構成されていましたが、何かあっという間に終わってしまったかんじでした。(これで11ユーロは高いかな・・・)


 作品は、1900年から15年までの作品で、表現主義風からフォービズム、さらにはセザンヌを意識しつた構成的な画面に変容していく様が判る展示なのですが、そういった教科書的な視線はここでは放棄して、ヴラマンクの白色の使い方と、作品そのものの平面性について意識しながら見ました。独特な白色の使い方は、セザンヌを意識したあとのキュービスム的傾向の強い作品ぐらいから見られ、そこにこの画家のオリジナリティを感じました。さらに、フォービズムの荒々しい厚塗りの筆致から、だんだんと薄塗りになり、曖昧でぼかしのような画風に変化していく様は興味深かったです。また、パステルカラー的な色調の空虚さや、全体として不安感を誘う画面に独自性を感じました。


 ヴラマンクを見終わり、次にリュクサンブール美術館からすぐそばのところに、サン・シュルピス教会に行きました。ここには、入ってすぐ右のチャペル(聖天使礼拝堂)にドラクロワの壁画があることで知られています。向かって左側に、 「ヤコブと天使の闘い」、右側に「神殿を追われるヘリオドロス」天井には「悪魔を倒す天使長聖ミカエル」が描かれています。旧約聖書創世記からのシーンを描いたものですが、ドラクロワ最晩年の作品です。


 これらの絵は、美術館に納められることなく、信仰の場として飾られ続けるのでしょうか?観光客の多くは(きわめて偏向したものの言い方をすれば、おばかなアメリカ人観光客達)は、ダ・ヴィンチコードの史跡巡りに熱中して、この場を通り過ぎて行きます。美々の皆さんは、そんな観光客にならないで、貴重な絵画を是非見逃さないでください。

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