2008/04/13

パリの日本人

パリのブックオフ
テレビではエルとライトが
ラルクのポスターまで

 今日は堅苦しい話はやめて、ガーシュインの「パリのアメリカ人」に倣って、「パリの日本人」と題してみました。パリには多くの日本人観光客が訪れると共に、多くの日本人が実際に働き、住んでいます。私もその住民となったのですが、まだフランスと日本の違いに戸惑うことが多いです。最近ではユーロが高いので、こんなにパリの物価は高かったっけ?と嘆くばかりです。日本人からすると、フランス人の行動が非合理的に見えることが多く、また理不尽さを感じることも多くあります。せっかく長く並んでいた切符売り場なのに、急に窓口が閉まってしまい、別の窓口に並び直す必要があるとか日常茶飯事です。
 そのような時「日本だとこうなのに」と思うことしばしばですが、「郷に入っては郷に従え」という言葉を思い出すしかありません。そんなとき、日本食や日本に関するものは、精神的な安定をもたらすことになるでしょう。そして、そういった人を対象とする「商売」もしっかり定着しています。いわゆる「日本人村」が、パリのオペラ座界隈に形成され、週末ともなると多くの日本人が集うことになります。マンガ「のだめカンタービレ」で、のだめが「納豆」を食べるシーンがあるのですが、納豆は冷凍されてフランスに輸出され、1パック3~4ユーロ(5~600円)で販売されています。マンガのなかで、納豆を貴重るシーンがあったと思いますが、作者は良く取材したなあと思います。驚いたことに、最近では日本から米も輸出され(日本人の多くはアメリカやイタリアで栽培された、日本品種の米をたべています)ているようで、きっと裕福な人たちが買うのでしょう。
 また以前からあったジュンク書店は、大きくなって殆ど日本の書店と変わらない品揃えで、驚くばかりです。さらに驚くのは、値段なのですが・・・。さらには、なんとブックオフBook Offまでパリに進出しています。こちらでもマンガはmangaとして定着していますが、仏訳された単行本は一冊約1000円ぐらいで販売されています。日本の約3倍ぐらいでしょうか・・そんななか、ブックオフの特売コーナーは、日本だと100円ですが2ユーロ(320円)で、あまり人気のないマンガなら手にすることが出来るというわけです。ブックオフは日本書専門とフランス語英語専門の二つの店があり、後者の二階には、mangaの本DVDを漁るマニアが多く集っています。「のだめ」のフランツは実在するのです。
 さて、そのブックオフで私は、一冊の本を購入しました。それは、2ユーロのコーナーにあった「フランスの近代美術館のために」と題された本です。この本は私が以前勤めていた大学で購入したのですが、実践に異動したので現在は手元にないからです。もともと95フラン(約2000円)の本が320円で購入できたので、しめたものです。これは1925年に、アールヴィヴァンという雑誌において行われたアンケートの結果なのですが、このときにはまだフランスに、あるいは世界でも、近代美術館というものは存在していなかったのです。パリにおける近代美術館は、1937年のパレドトーキョーに設立された近代美術館が最初ですし、それより先1929年にニューヨークでいわゆるモマ=MoMA(ニューヨーク近代美術館)が設立されたのでした。

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