2008/04/24

映画の記憶2

スカイラインが統一されている
ラジオ・フランスは未来的な雰囲気
色々なCMにも登場するビル・アーケム橋
フロン・ド・セーヌ地区の話で、写真にかすかに写っている赤茶の建物は、旧ホテル・ニッコーであり、現在はフランス資本のアコーグループに売却され、ノボテルというホテルになっている。このホテルを見ると、ヴィム・ヴェンダース監督『アメリカの友人』が思い出される。ブルーノ・ガンツ演じる殺し屋が、このホテルに滞在し、パッシー駅から6番線のメトロに乗車する男を尾行する。男は、シャルル・ド・ゴール駅でRER(高速地下鉄)に乗り換え、デファンス駅で殺害されるというシーンがある。ちなみに、そこで殺される男を演じているのは、スイス人映画監督で、オペラ演出でも知られるダニエル・シュミットであった。まだ、デファンスに新凱旋門が出来るずっと前の話であり、RERの駅の監視カメラに一部始終監視されながら殺害が実行される様は、現代社会への痛烈な批判にも思えるものだった。


そのニッコーホテルの向かい側に立つのは、ラジオ・フランスの丸いビルであり、ここはゴダールの「アルファヴィル」が当然思い出されることになる。そして、その両岸の間に流れるセーヌ川には、真ん中には人工の島があり、散歩が気持ちよい「白鳥の遊歩道」となっている。そして、その先端には自由の女神像が立っている。
この「白鳥の遊歩道」を、グルネル橋からビル・アーケム橋に向かうと、そこはベルトリッチの『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の記憶が強烈に思い出されるが、ここではルイ・マルの『地下鉄のザジ』の映像を示すことにしておこう。この映像のなかには、ヴァルター・ベンヤミンの考察の対象となったパッサージュも出てくる。

0 件のコメント: