2008/04/08

地下鉄の入り口




 私の住んでいるモンマルトルのアベス駅の入り口は、アール・ヌーヴォーの建築家エクトール・ギマールによるものです。というか、パリの殆どの駅の入り口はギマールによるものなのですが、この駅とポルト・ドーフィヌの二駅は、屋根も残っていて貴重です。アール・ヌーヴォーとは直訳すると新しい芸術となるでしょうが、それはパリで万国博覧会が開かれた1900年頃の新しい芸術を意味します。見てわかるように、植物の紋様を意識させるような曲線美をたたえるデザインといえるでしょう。この運動には、日本美術の影響があると言われていますが、それはこの運動の名前自体が、日本美術を積極的に欧米に紹介した美術商サミュエル・ビングの店の名前=Maison de l' Art Nouveau から由来すると言われていることからも明らかでしょう。
 ギマールの住宅は、パリの16区周辺に残っているので、後で紹介したいと思いますが、今日はこの二つの駅を紹介すると共に、現代的なデザインの駅も紹介することにします。それは三つ目の写真で、ちょうどルーブル美術館の直ぐそば、コメディ・フランセーズの目の前にある、パレ・ロワイヤル&ルーブル美術館駅の入り口です。デザインしたのはジャン・ミッシェル・オートニエルというガラス作家で、パリ地下鉄開通100周年を記念して作成されたそうです。ギマールから100年、新たな芸術と古い芸術の共存、それがパリの魅力なのかもしれません。

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