2008/10/26

オルフェとユリディース@シャンゼリゼ劇場


 シャンゼリゼ劇場のコンサート形式のオペラ上演として、グリュック作曲「オルフェとユリディース」を聞きました。このオペラは、登場人物はオルフェ、ユリディス、そして愛の神の三人しかいません。物語は有名なオルフェウスの話、オヴィディウスの「変身物語」に典拠をもち、プッサンやルドンやモローらによる絵画もよく知られています。
 また、この夫婦愛のお話は、オペラの誕生時に上演された物語でもあります。つまり、1600年にマリー・ド・メディシスとアンリ4世の結婚式がフィレンツェのピッティ宮殿で開かれたときに、お祝いの宴でヤコーポ・ペーリによって「エウリディーチェ」という音楽劇が上演されました。これが現存する最古のオペラとなります(同じペーリによる「ダフネ」が最初といわれていますが、断片のみしか残っていません。)。ただ、この結婚式にはアンリ4世はフィレンツェまで足を運ばなかったので、代理人との結婚であり、持参金目当ての政略結婚による彼女の波乱の生涯は、ルーヴルにあるリュベンスによる大作「マリー・ド・メディシスの生涯」で確認できます。
 さて今回の演奏で、特に印象深かったのは、歌手でなくて、とても若い指揮者とその演奏団体の方でした。不勉強ながら、初めてジェレミー・ローレルとル・セルクル・ドゥ・ラルモニーは知りませんでした。なので、あまり期待していなかったのですが、思いがけずとてもすばらしかった。特に、ローレルの指揮に明確に反応していく、ピリオド奏法独特の切れの良さ、歌うところは歌い、祝祭的で躍動的なところもすばらしく、もう一度聞きたくなりました。3月21日にCDにもなっているダムロウとのモーツァルトのアリアのコンサートがあるようですが、そのときは日本にいて聞けないのが残念。



↑夜の女王のアリア 両者の共演

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